室内環境
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原著論文
電子・加熱式たばこから発生するカルボニル化合物に及ぼす吸煙プロトコールの影響
蘓原 滉稀関根 嘉香 山本 匠佐藤 祥大中井 里史柳沢 幸雄
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2020 年 23 巻 2 号 p. 89-97

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抄録
電子・加熱式たばこの市場規模は急速に拡大しており, 能動喫煙者のみならず過去に喫煙していた人や非喫煙者にも広がりつつある。 電子・加熱式たばこはデバイス・銘柄ともに多種多様であり, 主流煙中の化学成分の種類・量に関する情報は未だ十分ではない。 一方, たばこ製品の主流煙を採取する際の吸煙条件には, ISO, HCIおよびCORESTAで規定したそれぞれ異なる吸煙プロトコールがある。 しかしながら, 国内で流通する電子・加熱式たばこから発生する化学成分の種類・量に対して, これら吸煙プロトコールの影響を調べた報告はない。 そこで本研究では, 国内で流通する電子たばこ1デバイス, 加熱式たばこ2デバイスを対象に, 主流煙中カルボニル化合物の含有量に及ぼすこれら吸煙プロトコールの影響を検討した。 吸煙にはLinear Vaping Machine for E-Cigarettes, LM4Eを用い, カルボニル化合物の定量にはDNPH(2,4-dinitrophenyl hydrazine)含浸固相カートリッジ-高速液体クロマトグラフ法を用いた。 その結果, 電子たばこに関しては主流煙中カルボニル化合物の含有量に対して吸煙プロトコールの影響は見られなかったが, 加熱式たばこ2デバイスに関しては有意な影響が見られた。 加熱式たばこの場合, カルボニル化合物の発生にはグリセリンやプロピレングリコールの熱分解に加え, たばこ葉から抽出された画分が関与している可能性が考えられ, 主流煙の有害性を評価するには, 標準的な吸煙条件の確立が必要である。
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© 2020 一般社団法人 室内環境学会
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