室内環境
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解説
CFD, 空調システム, モデル予測制御を連成させた室内環境解析
白石 靖幸
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キーワード: CFD, VAVシステム, MPC, 最適制御
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2020 年 23 巻 3 号 p. 273-278

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抄録

設計・運用段階において空調のエネルギー消費を増大させる要因として制御上の問題が挙げられ各種空調方式に適した制御手法を用いることで改善される可能性があるが, 実運用においては古典制御が広く用いられているのが現状である。このため, 古典制御に代わる新たな制御手法として, 現代制御手法の一つであるモデル予測制御(MPC)を用いた空調システムの制御手法の確立が期待されている。そこで, 本研究ではCFD, 空調システム, MPCの連成解析により精緻な室内環境解析に関するケーススタディを実施し, MPCの有効性を示すことを目的としている。本報では, 制御手法や連成解析手法の概要を示すと共に空調システムの一例としてVAVシステムを対象にCFDと制御コントローラを連成した空調性能シミュレータを作成し, PIDとMPCの2つの制御手法に関するケーススタディを実施した。PID制御との比較により, 特に空調立ち上がり時や負荷変動時においてMPCでは制御性能が向上しており, 空調制御におけるMPCの有効性を確認した。MPCの予測モデルとして, CFD単体解析を用いて作成したステップ応答モデルを使用したが, 同モデルをMPCの制御則に組み込むことで, センサ温度だけでなく執務空間も概ね設定温度となることを確認した。

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© 2020 一般社団法人 室内環境学会
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