室内環境
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解説
食に関わる化学物質とヒトの健康:安全な食生活のための課題と展望
徳村 雅弘
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2024 年 27 巻 2 号 p. 121-126

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抄録
本報では,食に関わる化学物質がヒトの健康に与える影響について,従来の報告に加え,新たに懸念され始めている課題も含めて解説する。食品に含まれる化学物質は,食品自体に含まれるもの,調理過程で発生するもの,食品容器などから移行するものに大別される。例えば,残留農薬や食品添加物,調理によって生成されるアクリルアミドや多環芳香族炭化水素類(PAHs),食品容器などから移行する可塑剤が挙げられる。これらの化学物質は,消費者の健康に影響を及ぼす可能性があるため,規制やモニタリングなど,対策が進められている。一方,近年では持続可能な開発目標(SDGs)やサーキュラーエコノミーの推進が進められており,それに伴う新たな化学物質によるリスクが懸念されている。このような背景から,今後は非意図的に食品に含まれる化学物質の管理が重要となっていくと考えられ,その対策としては,定量的ノンターゲット分析(qNTA)技術が有望視されている。
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© 2024 一般社団法人 室内環境学会
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