室内環境
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原著論文
路線バスのにおい評価法とスクリーニング
―官能評価と機器分析によるにおい計測―
内山 一寿城井 啓吾菅 勝博木津 拓磨唐木 恭將松井 秀親丹羽 啓誌 達 晃一
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 28 巻 2 号 p. 143-154

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抄録
個々の車両について使われ方が特定できる乗用車に対し,大型バスの室内環境に関する研究は少ない。これは,路線バスでは不特定多数の乗客が利用するため,微生物やエアロゾルなど直接乗員の安全に影響する要因を含む多面的な検討が必要となり,評価が困難であることに起因する。本研究ではバスエアコンの吹き出し口から採取した空気について,官能評価,熱脱着ガスクロマトグラフ飛行時間型質量分析計とにおい嗅ぎシステムを組み合わせたTD-GC-OID-TOFMS機器分析を用いてにおいを評価し,バスにおける空調機器から排出されるにおいの評価方法に関して検討した。まず,複数の被検者を用いた官能評価では,バス車内でにおいを嗅ぐ方法はパネルの体臭の影響などで評価に適さないこと,においをバッグで採取して車外でにおいを嗅ぐ方法は安定して多人数で評価できることなどを見いだした。次に機器分析を用いてヒトの体臭やバスの内装材などが発生源である可能性がある複数の物質のにおいを検出することが出来た。本手法を用い,においに影響する可能性が高い物質やその発生源推定などのスクリーニングが可能となり,今後の多面的な検討に貢献するものと考えている。
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© 2025 一般社団法人 室内環境学会
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