抄録
【症例1】82歳女性. 間欠性A型WPW症候群に対してカテーテルアブレーション (ABL) を施行した. アンギオ室入室時にはデルタ波は認めなかった. 電気生理学的検査では, コントロール下とβ遮断薬 (ランジオール) 投与下においては副伝導を介する順行性および逆行性伝導を認めなかったが, β刺激薬 (イソプロテレノール (ISP) を投与したところ同伝導路を介する両方向性の伝導を認めるようになった. 【症例2】73歳女性. 発作性上室性頻拍に対しABLを施行した. 左室側壁に副伝導路を介する逆行性伝導を認めたが, コントロール下においては110ppmまでしか1 : 1伝導を認めなかった. しかし, ISPを投与したところ200ppmまで1 : 1伝導するようになり, さらには順方向性の房室回帰性頻拍が誘発されるようになった. 一般的に副伝導路は固有心筋でありカテコラミンに非感受性であると考えられているが, 副伝導路の有効不応期が短縮し, 伝導が亢進した2例を経験したため報告する.