抄録
一般環境における室内浮遊粉塵汚染の低減にエアフィルタが用いられている。最近では, 微生物粒子による室内空気汚染の問題に関心が集まっており, 浮遊粉塵のみならず, エアフィルタによる浮遊微生物粒子の除去においても期待されている。エアフィルタにはいろいろな種類のものがあり, その捕集性能の評価方法も使用目的によって異なる。
本報では, まず, エアフィルタによる粒子の捕集メカニズム, 即ち, 慣性衝突, さえぎり, 拡散, 静電気について述べる。次に, エアフィルタ捕集性能の評価方法に関して, 日本のJIS B 9908-2001方法とアメリカのASHRAE 52.2の方法について述べる。JIS法では, 捕集対象粒子によってエアフィルタを3つのタイプ (タイプ1~3) に分類し, それぞれ計数法, 比色法, 重量法での評価が行われる。ASHRAE 52.2では, 従来の計数法, 比色法, 重量法から計数法に統一した。最後に, 筆者らが行ったエアフィルタによる浮遊微生物の捕集性能に関する現場検証実験の結果にっいて述べる。エアフィルタによる浮遊微生物粒子の捕集率と粒径別浮遊粒子の捕集率との間に有意な相関関係が認められた。浮遊黄色ブドウ球菌,浮遊細菌,浮遊真菌に対するそれぞれの捕集率は1μm以上, 2μm以上, 5μm以上の浮遊粒子に対する捕集率とほぼ等しいことが明かになった。