室内環境
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室内空気中の揮発性有機化合物(VOC)量の年次推移について
井上 ひとみ世良 保美大谷 亮佐藤 雅幸市瀬 正之田村 行弘
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2007 年 10 巻 2 号 p. 147-154

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抄録
室内環境中における化学物質濃度については厚生労働省により2000年に指針値が, 2002年には国土交通省により基準値がそれぞれ設定されたことにより, それ以降指針値設定化学物質(指針値設定物質)の使用が抑えられ, 代替品として様々な化学物質(指針値未設定物質)が使用されるようになった。
そこで, 室内環境中におけるVOC(揮発性有機化合物)濃度の実態把握を目的に, 設定物質6物質および未設定物質16物質, 計22物質を対象に, 2002年12月から2007年3月までに3,039施設について調査を行い, 各物質の検出率および濃度分布を比較・検討した。その結果, 2003年の建築基準法改正以降, 1-ブタノール, トリクロロエチレン, トリメチルベンゼン, デカンの検出率が顕著に増加した。さらに, 調査対象とした22物質の検出量の合計をTVOC(総揮発性有機化合物)と仮定して算出したところ, 最大値54,266μg/m3, 平均値1,005μg/m3,中央値215μg/m3であった。また, 厚生労働省が定める目標値400μg/m3を超過した検体の割合は39%であった。
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