抄録
日本国民の1/3が何らかのアレルギーに罹患していることが知られている。アレルギーを引き起こす原因物質であるアレルゲンには様々のものがあり, その1種としてかびが挙げられる。かびに対しては環境基準を基に規制する必要があるが, 殆どのかびに関する“量一反応関係”が把握されていないため, 健康影響を基に室内かびに関する基準を制定することは難しいのが現状である。
本報では, かびによる人の健康への影響, かびの健康リスクの概念とその概要を紹介した上で, 環境基準の制定方法とかびに関する基準の現状について述べる。