日本シルク学会誌
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論文
「あけぼの」・「さきがけ」生糸によるフラットクレープの風合い
那須 杜子明青木 昭西城 正子蓜島 富士江
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1992 年 1 巻 p. 17-21

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抄録
 繭糸繊度に特徴のある蚕品種繭の衣料素材としての適性を見出すために、「あけぼの」生糸と「さきがけ」生糸を用いてフラットクレープを製織し、生地の風合いをKES―FB計測システムで評価した。
 力学的特性値は、対照区に比べて、「あけぼの」のB、LT、WT、RT、EMTは小さかったが、「さきがけ」はB、LT、RTが大きく、WT、EMTは小さい。「あけぼの」生地は軟らかであるが、変形に対する回復性はあまり良いとはいえない。「さきがけ」生地は剛いけれど、回復性が良いと評価された。
 風合い値は、いずれもふくらみは小さいが、腰、張り、しなやかさは婦人外衣用薄地としての標準的な値を示し、特に「さきがけ」生地の腰、張りは大きな値となった。
 「あけぼの」、「さきがけ」によるクレープは、婦人外衣用薄地としての用途を十分満足させることが確かめられ、特に「さきがけ」は新素材として期待できることが判った。
 洋装用の衣料素材として、繭糸繊度に特徴のある蚕品種繭の適合性を見出すために、生糸特性を明らかにし(間ら、1991)、製織したフラットクレープの性状についても検討した(那須ら、1990)。
 引続き、KES-FB計測システムにより、ブラウス地としてのフラットクレープの風合いについて検討したので報告する。
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© 1992 日本シルク学会
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