抄録
界面活性剤は、化粧品を構成する化学物質の1 つであり、化粧品において主に洗浄、乳化、可溶化を目的に用いられる。化粧品のように不特定多数の人が長期間にわたって使用する場合、その安全性は製品に訴求される最も重要な要素である。現在、既定の試験法によって化粧品原料と製剤の安全性が評価され、用途に適した界面活性剤が利用されるが、微妙な有害作用や副次的な皮膚への影響など、従来の試験法では予知できない可能性がある。本稿では、軽微な皮膚ダメージの1 つとして角層細胞間脂質(SCL)構造の乱れに焦点を当て、電子スピン共鳴(ESR)法より得られたオーダーパラメーター(S)と皮膚刺激、および皮膚バリア機能との関係を説明する。