抄録
近年、観光地のキャパシティを超えて外国人観光客が訪れるオーバーツーリズム(Over-tourism)または「観光公害」が深刻になっている。これに関する研究の多くは、自然観光資源での環境への過負荷やアーバンツーリズムでのインフラへの負担にのみ重点を置いている。しかし、現在の日本でのオーバーツーリズムは、日本の在留資格制度などの外国人政策の不十分さなどから、将来の低所得外国人の流入と定住、それによる社会負担の増大と福祉水準の低下、文化摩擦と治安の悪化という危機を招来しうる。
本稿では、観光をサービス貿易の形態から捉え、サービスを提供する外国人の流入と定住がどのように起こり、それが今後どのような問題をもたらすのかを考察し、その対策としての政策を提示した。