理科教育学研究
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原著論文
理科教育における日常的理解と科学的理解とを統合する要因 : 水溶液の性質に関する授業を事例として
疋田 直子松本 伸示
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1999 年 40 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

水溶液に関する子どもたちの概念を調べていくと,日常的理解がかなりのウエイトをしめ,科学的理解が少ないことが言われている。本研究では,日常的理解と科学的理解の統合を試みようとした水溶液の性質に関する授業を事例として,これら統合を作り出す要因を子どもたちの学習過程の中で明らかにしようとしたものである。日常的理解と科学的理解の統合を調べていくためのッールとして,水溶液をキーワードとしたコンセプトマップを学習前と学習後に作成させた。統合されたコンセプトマップを作った子どもたちが所属する学習グループと統合されていないコンセプトマップを作った子どもたちの学習グループとに分け,そのグループで行われた会話内容を比較し,何が統合をもたらす要因となったかを調べた。その結果,統合されたコンセプトマップを作成した子どもたちのグループでは,学習過程の中で,「反芻」が重要な役割を果たしていることが明らかになった。

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© 1999 日本理科教育学会
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