2006 年 47 巻 1 号 p. 35-43
本研究では,各学習者の内的な理解状態を他者に明示させながら相互作用を促すことが概念的知識の一般化にどのような効果があるかを検討した。手続きとして,予想時に生徒が小グループで議論を行う際に,個人の考えがよく見えるように画用紙という道具を使って議論をする群と個人の考えを口頭でのみ発表する群に分け,比較した。結果からは,単に口頭により議論をさせることに比べ,自分の考えを書いたものを示しながら議論することは,概念的知識の一般化に有効であることが分かった。また,学習者が考えを変更していく過程では,問いの創出や擁護,同意といった説明活動が生じていることもうかがうことができた。