理科教育学研究
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原著論文
学習内容の構造化を図る指導が学習者の概念の深化・拡大に及ぼす影響 : 化学変化と電気エネルギーをつなぐ自由電子の学びを通して
益田 裕光
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2007 年 48 巻 2 号 p. 71-82

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抄録

現行学習指導要領のもとで,中学3年生では,電池が化学変化によって電気エネルギーを発生させる装置であることを学習する。中学生は,電池をつくり,その電池を用いて「化学変化」と「電気エネルギーの発生」を観察する。しかし,化学変化によって,なぜ電気エネルギーが発生するのかを学習しない。つまり,二つの現象を観察し,両者がつながりのあることであることを結びつける学習が展開されるのである。そこで,本研究では,電流の正体が自由電子の流れであることを中学生に学習させてから,電池をとらえるコミュニケーション活動による学習を展開した。その結果,中学生は, コミュニケーション活動を通し自由電子を用いることで,化学変化によって電気エネルギーが発生する理由を理解し,電池についての科学的な概念を深化・拡大することができた。

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© 2007 日本理科教育学会
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