理科教育学研究
Online ISSN : 2187-509X
Print ISSN : 1345-2614
ISSN-L : 1345-2614
原著論文
東京都立高等学校の理科教師による数学的内容の指導とその意識 : 測定値の取扱いに関する指導を中心に
田川 健太西山 保子
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 48 巻 3 号 p. 67-74

詳細
抄録

理科と数学は密接な関係にあり,理科の授業で数学的知識が必要となることが多い。理科教師による数学的内容に関する指導の実態と意識を明らかにするために東京都立高等学校に勤務する理科教師を対象に質間紙調査を行い,数学的内容について指導しているか,指導すべきだと思うか,指導すべきだと思い指導しているか(積極的指導をしているか)を分析した結果,以下のことが明らかになった。(1) 有効数字,指数,平均は,半数近くの理科教師が理科の授業で指導している。(2) 有効数字と誤差は,7割以上の理科教師が理科の授業で指導すべきだと考え,平均,指数,ベクトル,対数は半数近くの教師が理科の授業で指導すべきだと考えている。(3) 四年制大学進学率が6割以上の学校では,平均はあまり指導されていない。(4) 誤差と指数は化学と物理で,対数は化学で,ベクトルは物理で積極的に指導される傾向にある。(5) 有効数字の指導をしている教師は誤差と指数の指導も行っている。誤差の指導をしている教師は有効数字と平均の指導も行っているが,確率,標準偏差,正規分布,散布図の指導は行っていない。

著者関連情報
© 2008 日本理科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top