抄録
真正の科学実践であるアーギュメンテーションを理科授業に導入するための研究が着目されている。そこでは, 学習者のアーギュメンテーションを評価するためのフレームワークの提案がなされてきた。しかしながら, 提案されてきた評価フレームワークは, 同じToulminのアーギュメントモデルに立脚しているにも関わらず, それぞれの内実が異なっている。本研究の目的は, 口頭のアーギュメンテーションを対象にした5つの代表的な研究を比較, 検討することによって, 評価フレームワークにおける共通点と相違点を見出すことであった。その結果, 共通点として主張・データ・論拠・裏付けが含まれていること, 相違点として限定詞と反論の扱いが確認された。これらの共通点と相違点を考察することによって, より望ましい評価フレームワークを提案できる可能性が示唆された。