理科教育学研究
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原著論文
動画モデル作成を通した科学概念構築に関する一考察
―中学校「水の状態変化」の授業分析を事例にして―
齋藤 裕一郎小野瀬 倫也鈴木 一成
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2014 年 55 巻 3 号 p. 311-322

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抄録

学習指導要領の改訂により, 学習内容が科学の基本的な見方や概念を四つの柱として整理された。「状態変化」は, 四つの柱の一つである「粒子」の内, 「粒子の保存性」と「粒子のもつエネルギー」にまたがる内容である。その学習の考察場面においてICT機器を利活用し, 温度変化に伴う水分子の挙動について動画モデルの作成ならびに発表を行わせた。
この分析により, 「状態変化」の学習での子どもにおける分子運動論の理解に向けたICT機器の利活用に関して, 以下の知見を得ることができた。
1. 動画は静止画に比べ, 水分子の挙動を振動・移動の速度などについて表現することができるなど, 表現の幅が広がる。そのため, 子どもが事象の様々な側面を認識することができた。
2. 動画では, 固体から液体を経た気体への状態変化を連続して作成することができ, 注目した水分子の挙動を追跡しやすいため, 「状態変化」を分子運動論を基盤とした「水」の連続するストーリーとして捉えることが容易である。
3. 考察の論点の焦点化や機器の利活用などに関し, 目的に応じた教師の足場作りが必要である。

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