2016 年 57 巻 2 号 p. 133-141
本研究は, フェノールフタレインのフェノール性ヒドロキシ基をアセチル化した新規化合物4′,4″-ジアセチルフェノールフタレインを用いて, アルカリ性水溶液におけるエステルアルカリ加水分解反応の速度論的・熱力学的な解析を行い, 化学反応速度論の学習用実験教材としての可能性を検証した。その結果, 短時間で種々の化学熱力学的なエネルギー因子を算出可能な実験素材である事を明らかにした。また, 教員を目指す大学院生を対象とした実践的試行の結果から, 化学反応速度実験教材としての可能性が見出された。本教材は, 反応速度に対する化学熱力学的な物理量を学ぶ実験素材として有用である。