2020 年 61 巻 2 号 p. 309-320
本研究では,理科の学習において,児童自ら目標として設定した批判的思考力の働きを主体的に高めることができる指導法を考案し,授業実践を通してその効果を検証することを目的とした。そこで,第6学年30名の児童を対象に,「燃焼の仕組み」(全11時間)の学習において,まずはレーダーチャートを用いて自己の批判的思考力の現状を把握させ,目標及び具体的な取り組みを自己決定させた。その後,児童が見出した疑問を基に実験課題を設定し,実験を行いながら自己評価させる活動を繰り返し行った。また,学習の途中で,教師との個別ミーティングを1回実施した。そして,効果検証を行った結果,考案した指導法は,個々の児童が目標として設定した反省的な思考や目標志向的な思考などを中心に,児童が主体的に批判的思考力を高めることに寄与したことが明らかとなった。