2000 年 1 巻 1 号 p. 37-40
ユージノールは医薬品,化粧品,食品などに広く含まれているチョウジ油の主成分で,多くの歯科用薬剤に配合されている.このユージノールのアレルギー反応を,モルモットとマウスを用いて検討した結果,ズダンIよりアレルギー反応は弱いが,歯科用薬剤に配合されているユージノールによって,アレルギー性接触皮膚炎が発症する可能性が示唆された.さらにマウスを用い,ユージノールのアレルギー反応の感作誘導期と感作誘発期におけるヘルパーT細胞,補助シグナル分子であるB7-1および,B7-2の動態を,間接酵素抗体法を用いて免疫組織化学的に検討した.その結果,ユージノールのアレルギー性接触皮膚炎発症には,Th1細胞の関与が示唆された.また,B7-2はアレルギー反応の初期に,B7-1はアレルギー反応の遅い時期に補助シグナル分子として,ユージノールのアレルギー発症に関与することが明らかになった.