2016 年 16 巻 1 号 p. 31-34
以前の研究において、0.22 mol kg-1アルカリ金属イオン存在下でのdodecanoyloxymethyl-18-crown-6 (C11Φ6) の臨界ミセル濃度(CMC)が、18-crown-6環の孔径と同じイオン直径を持つK+のとき最大であり、陽イオンの直径が孔径から離れるにつれて減少することを示した。本研究では、C11Φ6よりCMCが高いoctanoyloxymethyl-18-crown-6 (C7Φ6) を用い、クラウンエーテル界面活性剤のCMCのアルカリ金属イオン直径に対する依存性がクラウン環の陽イオンの選択包接に起因することを確かめるために、アルカリ金属イオン存在下のC7Φ6溶液の電気伝導度を測定して、C7Φ6/アルカリ金属イオン錯体の安定度定数を求めた。その結果、C7Φ6/アルカリ金属イオン錯体の安定度定数は予想通りK+のとき最大で、陽イオン直径が孔径から離れるほど減少することが分かった。C7Φ6は18-crown-6より大きな安定度定数と低い陽イオン選択性を持っていた。このことから、C7Φ6のクラウン環とアルキル鎖を繋ぐ連結部分にあるカルボニル基の酸素原子もアルキル金属イオンとの錯形成に関与していることが示唆された。