2022 年 22 巻 p. 19-24
がん遺伝子パネルの保険収載により、本格的にプレシジョン医療の時代が到来したが、有効な分子標的薬が存在しない変異は未だに数多く残されている。疾患関連タンパク質の75%程度は阻害剤の設計が困難なアンドラッガブルターゲットであると考えられている。アンドラッガブルターゲットを攻略できる戦略として、標的タンパク質を分解に導くタンパク質分解技術が注目されている。しかし、技術上の困難から、真にアンドラッガブルなタンパク質の分解には未だ成功していない。我々は、独自に開発したケミカルノックダウン技術CANDDYを用いて、代表的なアンドラッガブルターゲットKRAS変異体の分解に成功した。本稿では、KRAS分解剤を例に、CANDDYを用いた新しい創薬戦略を紹介したい。