2022 年 22 巻 p. 25-35
分子生物学の研究が飛躍的に進歩し、分子標的薬の開発や治癒が困難であった様々な疾患に対する治療法が確立されてきた。一方で、標的タンパク質を同定できたとしてもタンパク質の構造上の特徴などから、標的とすることが難しいケースも依然として多い。そこで注目されているのが核酸を狙った分子標的薬である。特に、核酸の代表的非標準構造であるグアニン四重らせん構造(G-quadruplex: G4)を標的とした薬剤の探索が進められ、新たながん治療法への応用が期待されている。本総説では、G4が標的分子として注目されている理由、そして光増感能を持つG4リガンドのがん光線力学療法への応用について我々の研究を中心に紹介する。