抄録
多くのがん患者の疼痛は,原因の治療と全身的な鎮痛薬を用いた治療によって緩和されることが可能となった。その基礎となっているのは,WHOによる3段階除痛ラダーで,オピオイドと非オピオイド(非ステロイド性抗炎症薬,アセトアミノフェンと鎮痛補助薬)による治療からなりたっている。痛みは,侵害受容性疼痛(内臓痛,体性痛),神経障害性疼痛などに分類されるが,神経障害による疼痛や突出痛はオピオイドが効き辛い傾向にある。例えば,褥瘡やがんの皮膚浸潤などによる痛みがそれにあたるが,病態に即した治療の選択が重要である。ここでは,がん疼痛の薬物治療の進め方の一つの方法について解説していきたい。