Skin Cancer
Online ISSN : 1884-3549
Print ISSN : 0915-3535
ISSN-L : 0915-3535
一般演題
ドセタキセルによるneoadjuvant chemotherapyによって血清CEA値の著明な低下を認めた乳房外Paget病の1例
大橋 苑子爲政 大幾豊永 三恵子太田 安紀太田 馨上尾 礼子是枝 哲岡本 祐之
著者情報
ジャーナル 認証あり

2012 年 27 巻 1 号 p. 93-97

詳細
抄録

 70歳,男性。当科初診の1年前より両下肢に浮腫が出現。2ヵ月前に左下肢蜂窩織炎で受診した際に,外陰部に紅斑と色素脱失斑を認めた。生検にてリンパ管の腫瘍塞栓像を伴う乳房外Paget病と診断した。初診時CEA値は23.2 ng/mlと高値であった。胸腹部CTとPET/CTでは転移を疑わせるリンパ節腫大や他臓器転移はみられなかったが,鼠径リンパ節生検で両側に転移を認めた。ドセタキセルによる化学療法にてCEA値が正常化し,腫瘍広汎切除と両鼠径リンパ節郭清を施行した。病理組織像では,腫瘍細胞が主として表皮内に胞巣を形成し,真皮への浸潤はごく一部のみであった。右鼠径部ではクロケットリンパ節まで転移を認めた。術後1年間外来通院でドセタキセルによる化学療法を継続した。術後1年の時点では再発転移を認めず,CEA値も正常範囲を維持している。本症例ではneoaduvant chemotherapyを含めたドセタキセルによる化学療法が有効であったと考えられた。

著者関連情報
© 2012 日本皮膚悪性腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top