61歳,男性。初診:2011年8月12日。5年前から頭頂部に結節あったが大きさは変化しなかった。結節は径10mm,半球状で頂部にびらんを伴っていた。患者の希望により初診の10日後に頭頂部の結節を切除した。病理組織像では真皮の浅層から深層にかけて,何箇所かに分葉状の腫瘍塊を認め,深部の切除断端で腫瘍細胞は陽性であった。真皮上層の腫瘍塊では,細胞質が大型で淡明な脂腺分化細胞が多数みられ,表皮との境界部には小型の基底細胞様細胞の集簇もみられた。深部断端部では大型の泡沫状の細胞と小型の基底細胞様細胞の集簇が混じており,血管の増生も認められた。横浜市立大学附属病院皮膚科に紹介し,2011年10月12日(最初の切除の40日後)に拡大手術を施行。手術瘢痕から20mm離して,帽状腱膜下の深さで切除した。オペ切片には残存腫瘍はなく,拡大手術から15ヵ月を経た現在,再発も転移も認めていない。