2013 年 28 巻 1 号 p. 84-88
56歳,女性。2005年頃から外陰部の掻痒,紅斑を自覚した。2007年に近医での生検にて外陰部Paget病と診断され,当科紹介受診となった。病変は恥丘部から肛門部にかけて存在しており,同年12月に腫瘍切除,植皮術を施行した。2011年8月に頻尿,排尿時痛が出現し,近医泌尿器科にてPaget病再発の可能性を指摘された。外尿道口周囲から膣口にびらんを伴う紅斑があり,膀胱鏡検査では膀胱頸部に紅斑が認められた。膣~子宮頸部と膀胱頸部の生検を行いほぼ全ての標本にPaget細胞が認められたため,膣,子宮・付属器,尿道,膀胱を合併切除する前方骨盤除臓術,回腸導管造設術を施行した。手術検体の病理検査では,尿道,膀胱,膀胱筋層内尿管,膣,子宮頸部にPaget細胞の進展が認められた。特に女性外陰部に発生したPaget病の場合には,腫瘍の進展範囲を評価した上で個々の症例によって治療方針を決定することが必要である。