2013 年 28 巻 1 号 p. 79-83
84歳,女性。初診の2年前に発症した躯幹の遠心性環状紅斑と,初診6ヵ月より出現した径6cmの右腋窩腫瘤を主訴に2011年11月10日に来院した。腫瘤の組織検査では,異型リンパ球が真皮から皮下組織にかけて密に浸潤し,腫瘍細胞周囲には,好酸球と組織球を混じた激しい炎症細胞浸潤を伴っていた。異型リンパ球は免疫組織学的にCD30,CD3,CD45RO,TIA-1,Granzyme Bに陽性,CD20,CD79,ALKに陰性だった。一方,環状紅斑部では,真皮浅層の血管周囲にリンパ球が浸潤していた。PET-CTで両側腋窩リンパ節に多発して集積があり,リンパ節生検で組織学的にCD30陽性の異型リンパ球と好酸球を証明した。以上より,原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫,遠心性環状紅斑の併発例と診断した。他院にてCHOP療法が8クール施行され,リンパ腫は完全寛解した。遠心性環状紅斑は化学療法に伴い改善した。