2013 年 28 巻 2 号 p. 212-215
59歳,男性。当院初診2ヵ月前に右鼠径部の皮下腫瘤を自覚した。針生検でCK20陽性でTTF-1陰性のリンパ節内の皮膚神経内分泌腫瘍と診断され,精査加療目的に当院入院となった。入院時右鼠径部に4×2cm程度の下床との可動性不良の腫瘤を触知した。採血ではneuron-specific enolase(NSE)は陽性であった。各種検査の結果,右鼠径部から右外腸骨動脈周囲のリンパ節が腫大しているほかは肺野を含め病巣はなかった。また,下肢にメルケル細胞癌を疑わせる結節は視診,問診でも確認できなかった。リンパ節摘出術を施行した際の病理結果も神経内分泌腫瘍であり,リンパ節原発のメルケル細胞癌と考えた。術後約1ヵ月後より放射線療法(60Gy/30fr)施行。術後1年経過するが現在までに再発はない。