Skin Cancer
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28 巻, 2 号
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第29回日本皮膚悪性腫瘍学会
シンポジウム1 がん免疫の最前線(臨床的立場,橋渡し的立場,基礎研究)
シンポジウム2 皮膚リンパ腫の進展
シンポジウム3 私の実践しているALM の手術-考え方,工夫,こだわり-
シンポジウム4 緩和医療の中の皮膚科学2013:Fungating tumor とMohs 法の応用
第28回日本皮膚悪性腫瘍学会
手術手技シンポジウム リンパ節郭清術:皮膚がんに特化した郭清範囲とは?
一般演題
第29回日本皮膚悪性腫瘍学会
  • 小俣 渡, 大芦 孝平, 並川 健二郎, 堤田 新, 山崎 直也
    2013 年 28 巻 2 号 p. 154-159
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     2006年から2012年までの7年間に国立がん研究センター中央病院を受診し病理組織学的に確認し得た有棘細胞癌158例について検討した。男性104例,女性54例,男女比は1.9:1で男性に多かった。年齢は60代,70代が最も多く,次いで80代,50代と続いた。また60歳以上が全症例の85%を占めていた。
     部位は顔が最も多く39例で,次いで手25例,足以外の下肢22例と続いた。前駆病変の明らかな症例は77例(48%)でボーエン病,日光角化症が各々27例と最も多かった。続いて熱傷瘢痕が15例であった。UICC 2009による病期別の5年全生存率は病期0期(n=17),I期(n=37)が100%,II期(n=45)が81.5%,III期(n=19)が57.6%,IV期(n=14)が0%であった。
  • 秦 洋郎, 青柳 哲, 宮内 俊成, 伊東 孝政, 本間 英里奈, 新熊 悟, 有田 賢, 清水 宏
    2013 年 28 巻 2 号 p. 160-163
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     症例は表皮水疱症,‘劣性,その他の汎発型’の44歳女性。3ヵ月前に生じた左下腿前面の有棘細胞癌の切除目的に当科入院した。入院時,右アキレス腱部にも難治性の潰瘍があり,同時に生検したところ,同様に有棘細胞癌であった。劣性栄養障害型表皮水疱症患者の合併症として有棘細胞癌の発生は高頻度だが,自験例のように,全身に散在するびらんあるいは潰瘍と臨床的に区別できない病変でも,組織学的に有棘細胞癌であったことは特筆すべきである。劣性栄養障害型表皮水疱症患者を長期間フォローする場合には,患者の加齢にともなって有棘細胞癌の発生率および死亡率が上昇することを念頭に置いて,難治性の潰瘍に対しても積極的に生検をすることが重要である。
  • 前田 拓, 木村 中, 高橋 紀久子, 伊藤 梨里, 一村 公人, 池田 仁, 保科 大地
    2013 年 28 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     69歳,男性。初診の6年前から前胸部に正常皮膚色の腫瘤を自覚した。その後,腫瘤が増大を認めたために,当院皮膚科を受診した。前胸部正中上方に20mm×20mmの赤色調腫瘤を認めた。Incisional biopsyを施行し,エクリン汗孔癌(Eccrine porocarcinoma:EPC)が疑われた。加療目的に当科紹介となった。CTなどの全身検索では,転移を示唆する所見は認めなかった。広範囲切除し,病理組織学的診断はEPCであった。2011年にBelinらは,Robson’s criteriaに基づき病理組織像をinfiltrative,pushing,pagetoidのsubtypeに分類し,再発率が異なることを示した。自験例のsubtypeはinfiltrativeであった。EPCの治療の際には,病理組織像でのsubtypeでの評価が重要である。
第28回日本皮膚悪性腫瘍学会
  • 中村 友紀, 福本 隆也, 小林 信彦, 森井 武志, 片山 絵美子, 長谷川 正俊, 榎本 泰典, 中峯 寛和, 浅田 秀夫
    2013 年 28 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     49歳,女性。既往歴には特記事項なし。2010年夏頃より右肘部に腫瘤を認めた。組織像では,真皮浅層から皮下にかけて結節性に形質細胞様細胞が増殖し,一部にリンパ濾胞様構造を呈し,リンパ球様細胞の浸潤を認めた。形質細胞様細胞はCD79a,CD138,bcl-2陽性,CD10,CD20陰性であり,軽鎖制限を認めた。胚中心部はCD10,CD20,CD21が陽性であった。末梢血と骨髄に異型細胞はなく,多発性骨髄腫の皮膚転移は否定的であった。全身検索でも他部位に病変を認めず,皮膚に原発した形質細胞分化の著明な濾胞辺縁帯リンパ腫と診断した。右肘の残存病変の追加切除の後,放射線治療を行い,再発は認めていない。
  • 熊野 公子, 村田 洋三
    2013 年 28 巻 2 号 p. 174-180
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     乳房外Paget病の自験例の中に家族内発症を有する症例が4例あった。3例は兄弟,1例は父と息子であった。これで乳房外Paget病の血縁家族内発症は,15家族報告されたことになる。全家族例を検討し,以下の可能性が示唆された。①乳房外Paget病の家族内発生は実は稀でなく,見逃されている。詳細な問診とprospectiveな聴取がこれを補うであろう。②親子例では,子の方が20年以上若い年齢で診断されていた。関心の高さで説明でき,むしろ一般の症例での発症時期が,病歴で得られるよりも実は若い時期であることが推測される。③家族内発症例では発症部位にも共通性が高く,遺伝的背景の関与を思わせる。
  • 緋田 哲也, 松立 吉弘, 村尾 和俊, 久保 宜明, 飛田 泰斗史
    2013 年 28 巻 2 号 p. 181-184
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     73歳,女性。以前より左下腿外側に淡褐色の結節を自覚していたが,徐々に隆起してきた。地元の皮膚科医院で生検を受け,有棘細胞癌が疑われたため当科に紹介された。左下腿外側に14×13mmの不整形,扁平に隆起する角化性の淡褐色局面を認めた。摘出標本の病理組織では,病変は全体に好塩基性に染まる表皮細胞の増殖より成っていた。腫瘍の辺縁部は,異型性のない表皮細胞の増殖であり,偽角質嚢腫などを認め,脂漏性角化症の像であった。これに対し腫瘍の中央部は極性の乱れた,核の異型性を伴う表皮細胞が表皮全層性に増殖し,異常角化細胞も認めBowen病の所見を呈していた。同部では辺縁に比べKi67が強く発現していた。以上の組織所見から脂漏性角化症内に生じたBowen病と考えた。稀ではあるが良性の脂漏性角化症内にBowen病などの悪性病変を生じる事は,以前より報告されており,念頭に置いておく必要がある。
  • 川﨑 雅人, 黒川 正人, 日下 淳子, 桂 良輔, 長谷川 弘毅, 古倉 浩次, 中尾 篤, 山田 祐介, 廣田 誠一, 塚 ...
    2013 年 28 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     症例は70歳,男性。生下時より恥骨部に瘻孔があるも放置していた。浸出液が多くなってきたため当科受診となった。生検を行った結果,病理組織学的には中分化型腺癌であった。免疫染色でCEA陽性,CK20陽性,CK7一部陽性であったため,腸管型腺癌の皮膚転移を疑い消化管の精査を行ったが,腫瘍は認めなかった。PETを含む全身検索ではリンパ節転移や遠隔転移は認めなかった。原発巣は恥骨前部の瘻孔すなわち先天性恥骨前瘻孔と診断し,腫瘍の拡大切除および腫瘍切除後の欠損部を縦型腹直筋皮弁で再建した。先天性恥骨前瘻孔は成因に定説はない。排泄腔遺残による仮説に基づき中分化型腺癌は先天性恥骨前瘻孔から生じたと考えられた。先天性恥骨前瘻孔の報告は少ない上に癌化した報告はなく,稀な症例と考えられる。
  • 上尾 礼子, 爲政 大幾, 田中 美紀, 太田 馨, 岡本 祐之, 永田 基樹, 藤澤 琢郎, 小西 将矢, 新田 匡幸
    2013 年 28 巻 2 号 p. 190-194
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     65歳,女性。数十年前から存在した右眉毛上部の色素斑に1年前より皮下腫瘤が出現し,増大してきたため近医形成外科を受診した。粉瘤疑いで切除されたが,病理組織検査で悪性黒色腫と診断され,当科紹介受診となった。前医での切除標本病理組織像では,真皮から皮下にメラニン色素を有する異型細胞の増殖を認めたが,表皮内に異型メラノサイトはみられずprimary dermal melanomaと診断した。初診時には右眉毛上部の手術瘢痕から耳下腺部までの皮下に硬く腫大した腫瘤が列序性に多発していた。これらの腫瘤を一塊とした腫瘍切除術と全層植皮術および頸部リンパ節郭清術を行った。皮下の腫瘤はin-transit転移であり,耳下腺内リンパ節にも転移が認められたことからprimary dermal melanoma,pTN3M0,stage IIIcと診断した。術後にDAV-Feron療法6クールを行い,INF-β局注を追加し加療したが,術後1年3ヵ月で小腸に悪性黒色腫の転移が出現したため,翌月に外科にて小腸切除術を行った。初療開始後2年3ヵ月,小腸転移切除後9ヵ月が経過しているが新たな再発・転移は認めていない。
投稿論文
  • 石井 良征, 境野 昌行, 渡邉 真也, 久保田 典子, 鬼澤 沙織, 丸山 浩, 藤澤 康弘, 中村 泰大, 川内 康弘, 大塚 藤男
    2013 年 28 巻 2 号 p. 195-204
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     本邦における有棘細胞癌およびボーエン病の現状を把握するため,全国調査を行った。全国約180の主要施設に対して,調査用紙を送付し回収した。2008年1月から12月までの1年間に各施設を受診した新規症例を対象とし,有棘細胞癌1050例,ボーエン病741例の有効回答を得た。有棘細胞癌の年齢分布は29歳から106歳で平均が77.8歳となった。発生部位は頭頸部536例(51.0%),体幹101例(9.6%),上肢92例(8.7%),下肢178例(16.9%)であり,頭頸部の発生が多い。熱傷瘢痕が発生母地の場合は病期IVの割合が多い傾向があった。ボーエン病の年齢分布は32歳から102歳で平均が75.2歳となった。単発例が678例,多発例が59例であった。発生部位は下腿が最も多く154例(20.7%)で,大腿が74例(9.9%),背部が67例(9.0%)の順となった。有棘細胞癌の所属リンパ節転移のリスク因子解析では,頭頸部を基準とした場合,外陰部・体幹・下肢が高リスクとなった。
  • 石井 良征, 境野 昌行, 藤澤 康弘, 中村 泰大, 川内 康弘, 大塚 藤男
    2013 年 28 巻 2 号 p. 205-211
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     本邦における基底細胞癌の新規発症数,発症年齢,発生部位,病型などの現状を把握するため,全国調査を行った。全国約180の主要施設に対して,調査用紙を送付し回収した。2010年1月から12月までの1年間に各施設を受診した新規症例を対象とし,1578例の有効回答を得た。基底細胞癌の年齢分布は,13歳から100歳で平均が72.6歳となった。発生母地は,脂腺母斑が18例,放射線障害と色素性乾皮症が同数の11例に認められた。臨床病型は結節潰瘍型が1013例(77.9%)で最も多く,表在型が254例(19.5%),斑状強皮症型が26例(2.0%)であった。発生部位は顔面が973例(61.7%)と半数以上を占めた。顔面の内訳は頬部197例,鼻翼134例,下眼瞼130例,傍鼻背92例,鼻背91例の順となった。鼻は基底細胞癌の好発部位であり,特に鼻尖,鼻翼に発生しやすいことが示唆された。
  • 岡田 佳与, 遠藤 雄一郎, 藤澤 章弘, 谷岡 未樹, 角田 茂, 中本 裕士, 椛島 健治, 宮地 良樹
    2013 年 28 巻 2 号 p. 212-215
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/01
    ジャーナル 認証あり
     59歳,男性。当院初診2ヵ月前に右鼠径部の皮下腫瘤を自覚した。針生検でCK20陽性でTTF-1陰性のリンパ節内の皮膚神経内分泌腫瘍と診断され,精査加療目的に当院入院となった。入院時右鼠径部に4×2cm程度の下床との可動性不良の腫瘤を触知した。採血ではneuron-specific enolase(NSE)は陽性であった。各種検査の結果,右鼠径部から右外腸骨動脈周囲のリンパ節が腫大しているほかは肺野を含め病巣はなかった。また,下肢にメルケル細胞癌を疑わせる結節は視診,問診でも確認できなかった。リンパ節摘出術を施行した際の病理結果も神経内分泌腫瘍であり,リンパ節原発のメルケル細胞癌と考えた。術後約1ヵ月後より放射線療法(60Gy/30fr)施行。術後1年経過するが現在までに再発はない。
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