抄録
症例は29歳,男性。8ヵ月前から生じた右大腿内側の粘液型脂肪肉腫に対して,手術目的に当科に入院した。術前に施行したCTでは薄筋に接して内部の均一な,楕円形の腫瘤を認めた。MRIではT1強調画像で均一な低信号,T2強調像で均一な高信号を認めた。エコーでは境界明瞭で全域に血流の豊富な腫瘤を認め,内部は大小の隔壁で区切られていた。エラストグラフィでは辺縁部で硬く,内部で柔らかい像を認めた。腫瘍細胞は多数の隔壁で区切られており,周囲との境界は明瞭であった。病理所見では大量の粘液基質や,印環細胞様の細胞を認め,chicken-wire様の分枝を伴う毛細血管が多数認められた。好塩基性の沈着物を認める領域ではアルシアンブルー染色が濃染した。自験例は臨床的,病理学的にも典型的な粘液型脂肪肉腫と考えられた。