2015 年 30 巻 3 号 p. 174-178
現在,5-S-cysteinyldopa(以下5-S-CD)の血清濃度が悪性黒色腫の病態を最も鋭敏に反応する腫瘍マーカーとされている。過去の我々の検討では,血清5-S-CD値と,病型やtumor thicknessとの相関はみられなかった。今回我々は,2010年以降に当科で血清5-S-CD値を測定した悪性黒色腫患者92例のうち,経過中に経時的に5-S-CD値の上昇を認めた症例に焦点をあてた結果,転移巣の数や総断面積・転移臓器の種類が増えるごとに血清5-S-CD値が上昇し,転移巣総断面積と5-S-CDには関連性があることが分かった。統計学的考察を含めて報告する。