Skin Cancer
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診断に苦慮した皮膚原発の節外性辺縁帯リンパ腫の1例
氏野 由理八木 夏希筒井 清広大橋 静子片柳 和義中川 真人
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2016 年 31 巻 1 号 p. 40-45

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抄録
72歳,男性。左上腕内側に硬結を伴った紅色の腫瘍があり。同様の腫瘍が右腋窩・上腕・背部に拡大。病理組織で真皮浅層から深層にびまん性にリンパ球浸潤。浸潤するリンパ球はCD3・CD20陽性,CD10・CD30陰性。In situ hybridization(ISH)で軽鎖制限なし。免疫グロブリンL鎖Cλ鎖の再構成はみられず。偽リンパ腫と診断し,経過観察したが難治性であり,皮膚生検を再度施行。病理組織の免疫染色では浸潤するリンパ球はCD20・CD79a陽性,CD10・CD30・EBER陰性。全身検索で皮膚以外の病変を認めなかった。偽リンパ腫と皮膚原発のMALTリンパ腫は鑑別が困難であり診断に苦慮したが,新生する多発病変がみられたこと,ISHでλ鎖優位となったことから,最終的に皮膚原発のMALTリンパ腫と診断した。病変に対してそれぞれ30 Gyの放射線療法を施行した。照射した腫瘍は消失したが,他の部位に新生を認めた。
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© 2016 日本皮膚悪性腫瘍学会
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