2018 年 32 巻 3 号 p. 272-278
88歳,男性。外陰,両腋窩,臍部の4部位に発生し,外陰部は下腹部,陰囊,陰茎,亀頭の4ヵ所に病巣を認めたquadruple extramammary Paget’s diseaseの1例を報告した。初診の10年前より右鼠径部に皮疹が出現,6年前より隆起してきたが放置。初診時,右鼠径部から恥丘部にかけての下腹部に17×14 cm大の紅色隆起性乳頭状腫瘤,陰囊には6.5×4.5 cm大の軽度隆起性局面,陰茎背には5×5cm大の紅色腫瘤,亀頭部には尿道口周囲に脱色素斑があった。さらに,両腋窩に脱色素斑を伴う紅斑,臍の深部に紅斑を認めた。生検にて亀頭部以外にPaget細胞を認めた。病変部の摘出標本では,全てにおいて基底膜は保たれていた。その1年4ヵ月後,脱色素斑であった亀頭部に紅色腫瘤が出現,病理にて同病と診断。4年後,直腸癌を合併し,術後呼吸不全のため永眠。極めて稀な症例であり,文献的考察を加えた。