Skin Cancer
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一般演題
Epithelioid angiosarcomaの組織像を呈したStewart-Treves症候群の1例
増田 泰之古岡 慶子谷川 絢乃小坂 博志長野 徹
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2018 年 33 巻 2 号 p. 154-157

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抄録

80歳,女性。1996年に子宮頸癌に対し手術・術後放射線照射を施行され,両下肢のリンパ浮腫が持続していた。初診1ヵ月前より右下腿に易出血性の腫瘤が出現し急速に増大したため当科を紹介された。初診時,右下腿に長径5 cmの暗赤紫色の腫瘤と,その周囲に数mm大の衛星結節を散在性に認め,不整形の紫斑が周囲に拡大していた。組織学的には明瞭な核小体を有する異型性の強い上皮様細胞がシート状に増殖していた。特殊染色ではD2-40陽性,CD34陰性,サイトケラチン陰性。組織学的にepithelioid angiosarcomaを疑った。腫瘤より出血が続くためモーズ療法ののち化学療法,放射線療法を行った。リンパ浮腫部に生じる脈管肉腫はStewart-Treves症候群として知られ,自験例ではepithelioid angiosarcomaを疑わせる組織像を示していたが免疫組織学的検討では確定診断に至る有意な所見が得られず診断に苦慮した。慢性浮腫に生じた結節および紫斑は,血管肉腫やその他の肉腫の可能性も考慮に入れる必要があると考えた。

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© 2018 日本皮膚悪性腫瘍学会
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