2019 年 33 巻 3 号 p. 201-205
83歳,女性。既往に関節リウマチがある。2015年より左踵に黒色結節を自覚した。2017年5月頃より同部位に疼痛が出現し,同年7月に当科を受診した。左踵内側に22×19×7mmの広基有茎性の黒色結節を認め,左鼠径リンパ節を触知した。PET-CTでは左鼠径リンパ節3個に集積がみられ,腫瘍全切除術と左鼠径リンパ節郭清術を施行し,悪性黒色腫と診断した。左鼠径リンパ節は12個中5個で陽性であり,病期はpT4bN3M0,stage IIICであった。同年11月のCT検査で多発リンパ節転移,肝転移,肺転移が出現し,ペンブロリズマブを導入した。導入から3週間後にCr 5.06 mg/dLと上昇あり,ペンブロリズマブによるGrade 4の自己免疫関連疾患副作用と診断した。Prednisolone 30 mg/day(0.8 mg/kg/day)投与開始し,腎機能は徐々に改善した。自験例はペンブロリズマブ投与1回のみで急速に重度の腎機能障害が出現した点が特徴的と考えた。