2019 年 34 巻 2 号 p. 140-143
94歳,女性(Performance Status:2)。初診の約2年前より左外眼角部に結節が出現し,約3ヵ月前より急に増大した。病変は25×19 mm大のドーム状の紅色結節で,病理組織学的所見で核の大小不同を伴う好酸性の腫瘍細胞が不規則な胞巣を形成して増殖。画像検査で転移所見はなく,有棘細胞癌(T2N0M0 Stage II)と診断した。当初は患者・家族とも高齢を理由に治療を希望しなかったが,無治療では腫瘍が増大し顔面の整容が損なわれる可能性があることを説明し,低侵襲切除を提案し同意を得た。手術は局所麻酔で5 mm以下のマージンで切除しVY前進皮弁で閉創した。以後再発・転移の所見はない。自験例は超高齢者の顔面の皮膚癌症例であり,整容的予後を優先事項として治療方針を検討したので,文献的考察を加えて報告する。