2021 年 36 巻 3 号 p. 230-234
60歳,男性。7年前に腹部に紅斑が出現し,徐々に拡大した。初診時,体幹,四肢に,軽度の鱗屑を伴う境界明瞭なびまん性紅斑,および紅斑局面を認めた。皮膚生検の病理では,表皮内に異型リンパ球の浸潤およびPautrier微小膿瘍を認めた。免疫染色では,CD2(+),CD3(+),CD4(-),CD5(+),CD8(-),CD45RO(-),CD56(-),CCR4(-),TIA-1(-)であった。CD7は,腫瘍細胞の約40%に欠失がみられた。Ki-67陽性率は10%未満であった。CD4,CD8陰性の菌状息肉症と診断した。リンパ節病変,他臓器病変,末梢血病変は認めず,Stage ⅠB(T2bN0M0B0)と診断し,ステロイド外用,紫外線療法を開始した。CD4/CD8 double-negative菌状息肉症は非常に稀な免疫表現型であり,若干の文献的考察を交えて報告する。