2021 年 36 巻 3 号 p. 235-240
58歳,女性。左上腕悪性黒色腫の術後1年半後に多発肺転移を生じ,Nivolumab/Ipilimumab併用療法を開始した。2回の併用療法後に生じた肝機能障害,発熱,倦怠感はPSL 20mg/dayで加療,軽快後に残り2回の併用療法を行った。4回目投与翌日の採血で重度の肝機能障害が判明,水溶性PSL 1mg/kg/dayの投与では軽快に乏しく,ステロイドパルスを施行,水溶性PSLを2mg/kg/dayに増量したが,一応の改善を認めるものの増悪が続いた。最終的にミコフェノール酸モフェチル併用で軽快したが,肝機能の正常化までに3ヵ月を要した。免疫チェックポイント阻害薬の加療では時に重篤な肝機能障害が生じる。治療の第一選択はステロイドであるが,抵抗性を示す場合には速やかな本剤の投与が重要と考えた。また,自施設でNivolumab/Ipilimumab併用療法を施行した8症例につき検討,免疫チェックポイント阻害薬では様々な免疫関連有害事象が生じるが,その種類により好発時期に傾向があることが示唆された。