2022 年 37 巻 1 号 p. 31-34
83歳,男性。初診の5ヵ月前に体幹に環状の紅斑が出現し,次第に拡大し多環状皮疹を呈したため当科を紹介受診した。匍行性迂回状紅斑を疑い,悪性腫瘍の検索と皮膚生検を行った。全身精査にて内臓悪性腫瘍の合併はみられなかった。病理組織学的には真皮上層の異形リンパ球の増殖と表皮内にmicroabscessが形成されていた。免疫染色にて浸潤リンパ球はCD3陽性,CD4陽性,CD7陰性,CD8陰性であった。サザンブロット法にてT細胞レセプター遺伝子の再構成がみられた。以上の結果から菌状息肉症と診断し紫外線療法を施行し,皮疹は改善した。
菌状息肉症は多彩な皮疹を呈することで知られているが,稀な皮疹として匍行性迂回状紅斑様皮疹があることを念頭に置く必要性があると考え報告する。