Skin Cancer
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37 巻, 1 号
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第36回日本皮膚悪性腫瘍学会
教育講演
第37回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 森 智史, 鈴木 利宏, 金子 ゆき, 金井 美馬, 林 周次郎, 岡安 彬彦, 井川 健
    2022 年 37 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    66歳,女性。高校生の頃より左大腿部に黒色斑を自覚しており,2020年7月に同部位が隆起してきた。悪性黒色腫T3bN1aM0の診断となり,術後補助化学療法としてダブラフェニブ(300 mg/day),トラメチニブ(2mg/day)併用療法を開始した。投与開始2週後より霧視症状を訴え眼科にコンサルト。ダブラフェニブ,トラメチニブによると考えられる漿液性網膜剝離の診断となり休薬を選択。休薬2週後には霧視症状および眼底検査における網膜剥離所見の消失を認めたため,2段階減量し内服を再開した。現在も投与継続中であり網膜剝離症の再発および原疾患の進行もない。眼の有害事象は患者のQOLを著しく損なう可能性があり,眼科医師と連携して診療にあたることが重要であると考えた。

第36回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 竹島 良輔, 田中 隆光, 向井 慶, 鎌田 昌洋, 大西 誉光, 山本 真由, 近藤 浩史, 笹島 ゆう子, 立花 弘之, 多田 弥生
    2022 年 37 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    74歳,女性。右下口唇に1年来徐々に増大する結節あり。21×17 mmの外方増殖性の紅色結節で,表面は乳頭腫状に角化。弾性硬で下床との可動性は良好。頸部リンパ節は触知せず,CTで遠隔転移なし。血清SCC 1.5 ng/mL。生検では核異型の少ない有棘細胞様の細胞からなる乳頭腫状の腫瘍で,外向性の増殖と下方は口輪筋の近くまで圧排進展していた。5 mmマージンで口唇を全層性に切除縫縮。断端は陰性でセンチネルリンパ節転移なし。脳梗塞で来院しなくなったが,術後1年で再発増大し,2年後に再診。下口唇に約3 cm大の紅色でドーム状の疣状腫瘤を形成。頸部リンパ節触知せず,血清SCC正常。両側の浅側頭動脈から透視下で顔面動脈にカテーテルを留置し,左右5 mgずつ1日10 mgでpeplomycinの持続動注を10日間施行。腫瘤は急速に消失し,1年半再発なし。投与2週後に,薬剤性間質性肺炎を合併したが,PSL 40 mgを5 mg/2週で漸減し軽快。

  • 北村 昇矢, 面髙 俊和, 鈴木 里香, 高沢 裕子, 中村 謙太, 木庭 幸子, 奥山 隆平
    2022 年 37 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    横紋筋融解症は,BRAF/MEK阻害薬併用療法において注意すべき副作用の1つである。BRAF/MEK阻害薬を併用して悪性黒色腫を治療中に,横紋筋融解症を生じた症例を私たちは3例経験した。投与した薬剤は3例ともダブラフェニブ・トラメチニブで,2例は進行期治療,1例は術後補助療法として用いた。発症時の年齢は75歳,79歳,82歳で,全例男性であった。治療開始から発症までの期間は14日,25日,36日で,発症時のCK値は1845 U/L,2540 U/L,9482 U/Lであった。初発症状は,脱力感と筋肉痛に加えて全例で発熱がみられた。2例は休薬と補液のみで軽快したが,1例は全身の紅斑を併発したため,プレドニゾロン内服(1 mg/kg/day)を要した。横紋筋融解症は重症化すると不整脈や急性腎不全を来すことがあり,早急な対処が重要である。BRAF/MEK阻害薬併用療法では開始後1ヵ月を中心に,脱力感等の症状に注意して診療にあたるべきである。

第35回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
第33回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 志水 陽介, 中村 元泰, 伊藤 崇, 関東 裕美, 石河 晃
    2022 年 37 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    75歳,男性。2013年より右示指の皮疹を,2014年より右腋窩腫脹を自覚した。近医で爪囲炎と診断され加療を受けるも改善しなかった。2015年に右示指と右腋窩腫瘍の生検が施行され有棘細胞癌の診断となり,当科を紹介受診した。造影CTにて右腋窩・右鎖骨下リンパ節の腫大を認め,右示指原発有棘細胞癌(pT3N2M0,Stage IV)と病期決定した。右示指はMP関節で離断した。CA療法を2クール施行するも無効であり,右肺転移が新規出現した。腋窩リンパ節の部分切除を施行後,計60 Gy/30回の放射線療法とCPT11療法を4クール施行した。リンパ節・肺転移は縮小し,6ヵ月間の腫瘍制御が可能であった。その後,右鎖骨上リンパ節,右大腿骨に転移が生じ,原発巣切除24ヵ月後に永眠された。爪部有棘細胞癌は予後良好な傾向があるといわれるが,解剖学的に皮膚と骨が近いため自験例のように診断が遅れると骨浸潤を来し予後不良となるため,正確な早期診断が重要である。

投稿論文
  • 松谷 茉莉花, 菅原 基史, 松尾 梨沙, 林 圭, 野崎 尋意, 松谷 泰祐, 岸部 麻里, 山本 明美
    2022 年 37 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    83歳,男性。初診の5ヵ月前に体幹に環状の紅斑が出現し,次第に拡大し多環状皮疹を呈したため当科を紹介受診した。匍行性迂回状紅斑を疑い,悪性腫瘍の検索と皮膚生検を行った。全身精査にて内臓悪性腫瘍の合併はみられなかった。病理組織学的には真皮上層の異形リンパ球の増殖と表皮内にmicroabscessが形成されていた。免疫染色にて浸潤リンパ球はCD3陽性,CD4陽性,CD7陰性,CD8陰性であった。サザンブロット法にてT細胞レセプター遺伝子の再構成がみられた。以上の結果から菌状息肉症と診断し紫外線療法を施行し,皮疹は改善した。

    菌状息肉症は多彩な皮疹を呈することで知られているが,稀な皮疹として匍行性迂回状紅斑様皮疹があることを念頭に置く必要性があると考え報告する。

  • 赤塚 太朗, 甲斐 浩通, 丸 陽美, 木下 幹雄, 菅谷 誠
    2022 年 37 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    54歳,女性。全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)に対して免疫抑制剤で治療中。10年以上前よりある右大腿部の紅色局面が隆起を認めたため,生検を行ったところ,有棘細胞癌が疑われた。手術にて切除したところ,病理で,Pagetoid細胞が認められた。Pagetoid Bowen病,異所性乳房外Paget病,上皮内悪性黒色腫が鑑別にあがったが,染色の結果,Pagetoid Bowen病と診断した。患者は以前よりSLEにり患しており,円盤状ループス(discoid lupus erythematosus;DLE)の皮疹から,免疫抑制剤による治療の影響もあり,Pagetoid Bowen病が出現したものと考えられた。

  • 池田 彩, 小林 祐佳, 益田 千可子, 出野 りか子, 文 省太, 小澤 健太郎, 山本 司郎, 家原 卓史, 小杉 準平, 上田 恭敬
    2022 年 37 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は86歳,男性。右大腿部悪性黒色腫(T4aN1aM1,Stage IV)に対しペンブロリズマブ初回投与の15日後から両肩部,大腿部の疼痛と血清CK値の上昇を認めた。筋炎と診断しPSLの投与を開始したが心筋炎を合併した。腱反射低下も出現し神経伝導検査からギラン・バレー症候群と診断した。四肢・呼吸筋力の低下,眼瞼下垂も認め重症筋無力症(MG)を疑ったが抗アセチルコリンレセプター(AchR)抗体陰性で,抗横紋筋抗体(抗titin抗体,抗Kv1.4抗体)陽性により診断した。呼吸筋力はプレドニゾロン(prednisolone;PSL),血漿交換療法(plasma exchange;PE)や免疫グロブリン大量静注療法(intravenous injection of immunoglobulin;IVIG)でも回復せず,初回投与から75日目に死亡した。免疫チェックポイント阻害薬によるMGは筋炎,心筋炎を合併し重篤化することが多く,抗横紋筋抗体の陽性率が高いため,診断に有用である。

  • 上井 廉絵, 石井 暢明, 芹澤 直隆, 秋元 正宇
    2022 年 37 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    77歳,男性。16歳時より右手掌に腫瘤を自覚していた。当院整形外科を受診し施行されたMRI画像ではT2拡散強調像で内部不均一の高信号であり,腫瘤背側には充実成分が疑われた。悪性腫瘍の鑑別のため,専門施設に紹介となり針生検が施行されたところ表皮囊腫の診断となり,当科紹介受診となった。表皮囊腫疑いで全摘したところ,病理標本上,角化細胞に類似した腫瘍細胞が囊腫壁に連続して不規則に分布しており,囊腫型有棘細胞癌と診断した。追加切除を行い,植皮術とV-Y皮弁術で再建した。術後3年で再発や転移は認めていない。囊腫型有棘細胞癌の見逃しを防ぐには表皮囊腫を腫瘍性病変の可能性があるものとして扱った全摘生検が好ましいと示唆された。

  • 近藤 智月, 有沢 宏貴, 都築 豊徳, 古川 洋志
    2022 年 37 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    Rosai-dorfman病(Rosai-Dorfman Disease;RDD)は,原因不明の組織球増殖性疾患である。主病変はリンパ節であるが,節外病変を認めることもあり,皮膚に病変が限局する症例は皮膚Rosai-dorfman病(cutaneous Rosai-Dorfman Disease;cRDD)として報告されている。

    確立された治療法はなく,外科的切除,抗菌薬,ステロイド外用・局注・内服,サリドマイド,化学療法,放射線療法など様々な報告があり,中でも外科的切除が最も効果が高いとされている。今回我々はcRDDの1例を経験したため,これまで本邦で報告されているcRDD をまとめ,外科的切除,再発症例について検討した。

  • 岡本 拓希, 小森 敏史, 浅井 純, 加藤 則人, 古林 勉
    2022 年 37 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/30
    ジャーナル 認証あり

    57歳,男性。約10年前より胸部に紅色丘疹が出現し,再発と自然退縮を繰り返しながら1年程度で全身に拡大した。前医にて生検を複数回施行され,リンパ腫様丘疹症と診断された。その2年後,転居に伴い当科に紹介され受診した。再度生検を含む精査を行い,リンパ腫様丘疹症に矛盾しない所見であった。2年間の内服PUVA療法,その後ステロイド外用療法を行った。定期的なPET-CTで異常はなく,小康状態を保っていたが,当院初診から8年後,左鼠経リンパ節腫大が出現し,リンパ節生検を施行した。病理組織では中型で核異型のあるリンパ球の密な増殖を認め,免疫組織化学染色はCD3,CD4,CD5,CD8,Granzyme Bで陽性,CD7,CD30,ALK,MUM1で陰性であった。また,T細胞受容体はCβ1遺伝子で再構成を認めた。以上より末梢性T細胞リンパ腫,非特定型と診断した。リンパ腫様丘疹症の経過中に末梢性T細胞リンパ腫,非特定型を発症した症例は極めて稀であり,考察を加え報告する。

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