2025 年 40 巻 2 号 p. 109-113
60歳代,男性。皮膚炎に対する免疫抑制療法として約10年前からシクロスポリン内服が継続されていた。3年前から頭頂部に黒色斑が出現し,経時的に増大していたが本人は経過観察していた。2年前には2cm大であったが,1年前から急激に増大がみられたため紹介元医療機関を受診。部分生検で悪性黒色腫が疑われ当科紹介となった。当院初診時には頭頂部に黒色と紅色の癒合した皮膚結節,右側頭部には紅色結節と連続し,一部斑状であった辺縁不正な黒色斑を認め,右側頭部の黒色斑から2ヵ所皮膚生検を施行し悪性黒色腫と診断した。
免疫抑制療法は非治療群と比較し皮膚悪性腫瘍の発症リスクを高めるとの報告がある。免疫抑制剤の長期使用例が増加する中,本症例を文献的考察とともに報告する。