2025 年 40 巻 2 号 p. 127-132
89歳,男性。当科初診2ヵ月前から右後頸部に増大傾向のある楕円形の隆起を自覚した。当科初診時には表面にびらんを伴う25 mm大の紅色腫瘤を認めた。生検の病理組織像は真皮から皮下脂肪にかけて小型から中型,一部大型のCD 8,CD 30陽性の異型リンパ球様細胞がびまん性に増殖しており,表皮向性は軽度であった。免疫染色ではGranzyme Bが部分的に陽性,ALKは陰性であった。T細胞受容体β鎖Cβ領域とγ鎖Jγ領域のモノクローナルな遺伝子再構成がみられた。CTではリンパ節病変や他臓器病変は検出されなかった。緩徐に経過する単発の腫瘤であり,病理所見も加味してCD 8陽性原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫と診断した。局所に放射線照射を施行し,3ヵ月後に腫瘤は消退した。CD 8陽性の原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫は報告が少ないため,治療経過を含めて報告する。