2025 年 40 巻 2 号 p. 133-137
症例1:69歳,男性。陰茎に鱗痂疲を付着する紅色斑を認めた。症例2:78歳,男性。陰囊に小豆大ほどの紅色結節を認めた。病理組織は両症例とも表皮全層に異常角化細胞がみられ,clumping cellなども伴っていた。病変部は局所麻酔下に全切除した。手術標本のパラフィン包埋切片よりDNAを抽出し,HPV-DNAの検索を行ったところ症例1からはHPV16型,症例2からはHPV51型のDNAが検出された。またp16,p53蛋白の発現を免疫染色で検討したところ両者ともp16は高発現していたが,p53は陰性であった。外陰部のBowen病とHPVとの関連はよく知られている。子宮頸癌などではp16の過剰発現がHPV感染のマーカーとして捉えられているが,Bowen病ではp16の発現とHPV感染との間には関連はなく,最近の研究ではp53が発現していないこととの関連が示唆されている。