リンパ節転移を認めた基底細胞癌の2例を報告する。
症例1:70歳, 男性。左鼠径部の60×20mmの潰瘍性病変を主訴に当科受診した。組織学的に基底細胞癌と診断し, 拡大切除および左鼠径リンパ節郭清施行。リンパ節転移を認めなかった。手術より4年後, 右鼠径部リンパ節腫脹, 右下肢リンパ浮腫が出現。右鼠径部リンパ節生検にてBCCの転移を認めた。また骨盤リンパ節への転移も認めた。cisplatin, adriamycinによる化学療法 (CA療法) を施行するも無効であった。
症例2:82歳, 男性。約10年前に右頬部に黒色結節出現, 徐々に拡大し70×60mmの潰瘍を形成したため当科受診した。組織学的に基底細胞癌と診断。CT上で筋層までの腫瘍浸潤, および右頸部リンパ節腫脹を認めた。放射線療法を施行し, 潰瘍は上皮化したが, リンパ節腫脹は続いている。