Skin Cancer
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がん緩和医療学の歴史的背景と現状
安達 勇
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2006 年 21 巻 3 号 p. 252-260

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抄録

緩和医療の歴史は宗教を背景にした人類愛から古典的なホスピス, 近代ホスピスそして現代ホスピスへと展開されてきた。現在の緩和医療は, 1) がん患者に対する医療者としての態度 (attitude) を基本に, がんに伴う患者の身体的, 心理社会的苦痛や苦悩に対して医学的知識 (knowledge) と技量 (skill) をもって全人的に対応している。2) がんの診断から治療過程そして終末期いたるまで適応されている。3) 多職種専門家からなるチーム医療で取り組むべきとされている。4) 緩和ケアの対象は緩和ケア病棟内に入院した患者・家族にのみではなく, 一般病棟に入院中のがん治療の患者, 通院治療中の外来患者, さらに在宅療養中の患者, 死別後の遺族となっている。このように緩和ケアは, がん診断, 治療段階から在宅, 終末期に至までより積極的に, 継続して, 総括的に, 幅広く提供されるがん医療の分野として認知されてきている。

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© 日本皮膚悪性腫瘍学会
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