抄録
血管肉腫は軟部悪性腫瘍の2%を占めるに過ぎない稀な腫瘍である。皮膚科で遭遇する血管肉腫の80%以上が高齢者の頭部に発生する悪性血管内皮細胞腫 (Malignant hemangioendothelioma, 以下MHE) であり, その予後はその他の血管肉腫と比べて不良であるとされる。これまで様々な治療が試みられてきたが, 標準治療は存在しない。従来はMHEと診断されれば組織学的特徴に関係なく広汎切除と放射線照射の組み合わせや, インターロイキン2 (IL2) による免疫療法が行われる症例が多かった。しかし治療にあたっては各治療方法の特徴と, 病変そのものの特性を踏まえたうえで決定していく必要がある。分化度が高く, 腫瘍内浸潤リンパ球 (TIL) の多い斑状病変の場合はIL2を中心とした免疫療法が奏効する。一方で分化度が低く, TILがほとんどない結節・潰瘍病変の場合は免疫療法の効果は期待できないために免疫療法以外の選択も必要である。適切な治療により原発巣をコントロールしても1~2年の間に肺転移を中心とした遠隔転移を生じてしばしば致命的となる。今後は原発巣の治療だけにとどまらずに再発予防のアジュバント治療の確立が必須である。