神経向性悪性黒色腫は稀な疾患である。初期の病理組織学的診断が困難で, 他の腫瘍と間違えられることも多く, 臨床診断が病理組織学的診断と異なることも多い。転移が神経向性である場合は視診上黒色を呈さないこともあり, 切除領域の判断を含め難しい。初期の病理組織学的診断が困難であるために, 治療に難渋した神経向性悪性黒色腫の2例を経験したので, ここに報告する。
症例1は左下顎部悪性黒色腫切除の約2年後に頸横神経に沿った神経向性の再発が認められた。症例2は右中指爪甲の悪性黒色腫に対して, 他院にて中指基節部切断術を施行された後に当院紹介受診となった症例である。右前腕に擁骨神経後前腕皮神経に沿った神経向性の腫瘍の浸潤が認められた。