抄録
57歳, 男性。10歳時に交通事故のため右大腿部より切断し, 左大腿外側には広範な皮膚欠損があり, 瘢痕治癒していた。約1年前より同部位に潰瘍が出現し, しだいに腫瘤を形成したが, ガーゼ保護のみで放置していた。その後, 徐々に増大し, 疼痛や出血が出現してきたため近医を受診した。生検で有棘細胞癌と診断され, 当科紹介となった。左大腿外側に20×13cmの辺縁が堤防状に隆起した潰瘍局面を認めた。各種検査で, 明らかなリンパ節転移や多臓器への転移は認められずT4N0M0, Stage IIIと診断した。巨大な腫瘍に対し, 術前に動注化学療法 (CDDP+ADR) と放射線療法 (total 67Gy) を行った。腫瘍は著明に縮小し, 根治的手術を実施することができた。