1989 年 4 巻 1 号 p. 103-108
Basal cell epithelionla (BCE) , Bowen's disease (BD) , squamous cell carcinoma (SCC) におけるI, III, IV, V型コラーゲン, ラミニンの分布と存在形態を間接蛍光抗体法, 免疫電顕法により検索した。その結果, 抗I, III, V型コラーゲン抗体はいずれも間質の全てのコラーゲン線維に反応した。抗IV型コラーゲン抗体, 抗ラミニン抗体は, BD, common type BCEでは, 腫瘍細胞巣と間質の境界部に線状に陽性であったが, 再発例を含むfibrosing BCE, SCCでは, 断裂や欠損, 或いは肥厚や重層化等の異常な存在形態を著明に示した。断裂像は良性腫瘍でも認められ, 必ずしも悪性を意味する所見ではないが, 存在形態の異常の発現の頻度は腫瘍の悪性度に並行した。